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中途解約すると、過去の期間については普通預金金利が適用されるとし、その金利を年1%と仮定します。
また、新しく預ける3年もの定期預金の金利は年5.5%とします(予想されるインフレ率が年5%に上昇したことを反映しています)。
過去2年間で得られた年2%の利息をあきらめて、普通預金金利(年1%)で利息が計算し直されるので、その時点では少し損ですが、あとの3年間は年5.5%の金利が適用されますから、最終的には、当初の1万円に対して1980円の利息がつきます。
先に計算したように、1万円のモノは2280円値上がりしていますから、差し引きで300円(元本に対して3%)の実質的な損です。
もちろんこの場合には、中途解約を選択すべきでしょう。
それでも預金価値の実質的な目減りは生じますが、中途解約しなければ、ずっと大きな目減りを覚悟しなければなりません。
そもそも長期の円定期預金に預けた時点で、予想外のインフレには弱い資産運用を選択したのですから、実際に予想を超えてインフレ率が上昇したにもかかわらず、元本の3%程度の目減りですむのなら、「助かった」と評価すべきでしょう。
*読者の中には「5年もの定期預金に預けてから4年経過し、あと1年で満期というときにインフレになったら、中途解約をするのも損な感じがするけど、どうすればいいのか」といった疑問を抱いた人もいるでしょう。
自分で、その状況に応じて細かく計算して判断するしかないこれまでの説明で、AとBでは、Aの方がずっと不利な商品であることが理解できたでしょう。
両者の広告を再掲してポイントを指摘したのが図別です。
「預金(貯金)はインフレに弱い」と単純に信じていた人は、AとBのちがいに気がつきましたよね。
いくつか銀行に口座をもっている人の中には、定期預金と普通預金がひとつの通帳になった総合口座″を利用している人も多いでしょう。
たいていの総合口座であれば、その中で預けている定期預金を担保におカネを借りることができます。
たとえば、定期預金の金額の90%までは普通預金の残高をマイナスにすることができるといった規定があり、それを利用するのです。
このときの借り入れ金利は定期預金金利プラス0.5%が一般的です。
すでに預けている定期預金よりも、現在の定期預金金利の方がずっと高いような場合には、中途解約する代わりに、この制度を利用しておカネを借り、新しい定期預金を始めておき、古い定期預金の満期が来たところで借り入れを返済するというやり方が有利になるケースがありえます。
過去によく使われていたテクニックです。
ただし、自分の取引銀行の各種の金利や規定を調べた上で、きちんと計算しておこなう必要があります。
恐ろしいワナを秘めた定期預金つぎに、やや特殊な条件のついた長期の定期預金を紹介しましょう。
新聞などで2004年から2005年にかけてよくみかけた広告を参考にしてはいますが、あくまで架空金融商品の架空広告です。
いくつかの雑誌・新聞の記事がこのタイプの商品を取り上げていましたが、肝心の「中途解約」の部分にきちんと言及した記事をみたことがありません。
ぱっとみただけでは、少し変わった条件がついているものの、さほどむずかしい商品には思えないでしょう。
現実に、いろいろな銀行が運用期間の長い(5〜10年ものの)定期預金を用意していますが、中途解約の扱いにはバラツキがあります。
大きく分けると、「原則として中途解約できません」といった記述があるタイプのものと、簡単に中途解約できることを前提に「中途解約すると普通預金金利が適用されます」といった記述があるタイプの、2つに分けられるでしょう。
クイズの広告のAとBは、その2つのタイプに対応していたわけです。
長期の定期預金に預けるときには、中途解約の扱いがどうなっているのか、きちんと確認しておく必要があります。
この定期預金は、満期日までの7年間(期間延長の場合には10年間)原則として中途解約できませんので、ご注意ください。
上の広告は架空のものであり、登喝する企業や金融商品などは、現実の企業や金融商品などとは一切関係ありません。
じつは、この広告の預金は長期の円定期預金″と金利のオプション取引″を組み合わせたセット商品なのです。
セットになることでとても割高になる金融商品の典型例と言えます。
原則として手数料がかからず、長期に渡って比較的有利な金利がもらえるだけのようにみえますので、割高な商品にはみえないのですが、それがこのセット商品の巧みなところであり、恐ろしさでもあります。
広告の中央と下側に小さな文字で書かれているように、この預金は「原則として中途解約できません」が、「特別な事情があると認めて中途解約に応じる場合」があります。
ここでは、原則として中途解約できないものとして預金を集めている銀行を想定します。
すると、たとえば預金者が中途解約しない場合、預金者は実質的に損をしますが、それはその分だけ銀行が儲けるということではありません。
健全な経営をしている銀行であれば、預金者からおカネを預かった時点で同時に、5年間、安全な企業や他の銀行に年3%の金利で貸すといった取引をして、預金者に支払う年2%の金利との差(利ザヤ)である年1%が利益になる状態にしているでしょう。
そのため、銀行はインフレになろうがデフレになろうが、毎年1%の利ザヤを稼げますが、それは、インフレになって預金者が損をしても、銀行が儲かるわけではないことを意味します。
ところが、いくら「原則として中途解約できません」と宣言していても、やむをえない事情で中途解約に応じることが考えられます。
預金者の死亡といった事情が一番わかりやすい例でしょうが、他にも細かな規定に応じて中途解約が認められる可能性があります。
さて、原則として中途解約できない長期の定期預金に預けた人が、予想外のインフレで大損しそうなときに、何らかの事情で偶然に中途解約が認められれば、預金者は損を回避できますが、そのとき誰が損をかぶるのでしょうか。
じつは、損は銀行に押しつけられるのです。
預金者が中途解約したとしても、銀行は当初時点で預かったおカネを年3%で貸しており、原則としてこれを期限前に回収するわけにはいきません。
仮に、預金者が年5.5%の定期預金に乗り換えたとすると、銀行は年5.5%の金利を支払って集めたおカネを年3%の金利で貸し出すことになり、差し引き年2.5%の損になります(これを逆ザヤと呼びます)。
だから、原則として中途解約に応じないという前提で長期の定期預金を集めている銀行は、本音としては「長期の定期預金を中途解約する客には、それによる損失分を支払ってもらいたい」のです。
しかし、1万円の定期預金を中途解約した客に対して、元本から損失分を引いて8千円しか払い戻さないといったやり方を、本当に実行すれば、かなりひどい銀行だと思われてしまいます。
だから実行できず、1万円という名目上の元本は確保されるように払い戻します。
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